2012年1月13日金曜日

2012年、ダイエット方法もリニューアル。

皆さん、2012年が明けました。おめでとうございました。

私は年中漫然とダイエットをしている。新橋のムサシヤで山盛りパスタを食べようが、駒場の千里眼で山盛りラーメンを食べようが、動けなくなるまで白飯をかっこもうが、私はいつでもダイエット中なのだ。

一日中食べ物のことばかり考えている私にとって、食べる量を減らしたり、味気ない食事を続けたりするのは命を削るに等しい。食べたい時に食べたいものを食べたいだけ食べるのは生きてこそ。私は体の欲求に対して忠実に食べ物を食べるようにしている。そして、たくさん食べた後は最低12時間は食事をしない。これが太らないコツなのだ。

でもね、年末に忘年会とか忘年会とか忘年会があって、いっぱい食べてしまったの。それなのに私ったら、聖なるクリスマスのせいなのか、ものすごく悪い人になって悪いことをしてやろうなんて思いついちゃって、ならばものすごく体に悪いものを食べてやろうと、背脂の浮くラーメンや脂ぎった肉の塊なんかを日々食べ続けた結果、少し、ふくよかになりました…。

そこで、一念発起!
2012年、私は痩せます宣言発令。
運動をします!そして太りにくい体を作り、今年も食べまくります!!

ネットでWiiのFit in Sixをポチッ。一年以上放置していたWiiをテレビに再接続。Wii Fitが私に話しかけてくる。

「nonサン、オ久シブリデスネ…。マズハ体重ヲ測リマショウ!」

…いやです。

ああ、いきなり挫折の私。私、自分の体重なんて知りたくない!!
こんなイヤな質問してくるポンコツ、もう一年くらい放置してやろうか。

ここで私の脳裏には今まで購入しては放置されていくダイエット器具の皆さん達が走馬灯のようにぐるぐる回り始めた。アブフレックスから始まり、アブスライダー、テンテン、ロデオボーイ、あと、スキーの板みたいなのをブルブル振るやつ…。皆さん、こんにちは、そして、ごきげんよう。

ダメだダメだ。今度こそ、ちゃんとやるんだ。

私はぶるぶると首を振り、Wii Fitの上に体を預けた。

以下、省略。

新しく届いたソフト、Wii Fit in Sixは12種類のジャンルと110種類のトレーニングが用意されている自宅用お手軽ソフト。面白いので手当たり次第に運動してみた。時間にしてみるとたぶん2時間弱はやっていたと思う。

翌日、目覚めた私は体の異変に気がついた。
体が鉛のように重い。そして痛い。

激しい筋肉痛で半ばロボットのような動きで部屋を徘徊。これは、まさに初めて富士山に登った翌日のような筋肉痛だ。あれはひどかった。イスに座っていると、じわじわと音を立てるように乳酸が筋肉の中で湧いてくるのだ。自宅でお気軽トレーニングをしたはずなのだが、なぜこんな筋肉痛に…?

己の運動不足を呪いながら、私はその日のライブに向かったのだった。

もちろん、その日のパフォーマンスがどこかぎこちない動きだったことは否めない。

今年もどうぞよろしくお願い致します。





2011年12月5日月曜日

洒落た紳士の言い逃れ

仲良しのライブハウスのママが、たいへん妄想上手で羨ましい。

ある日、いつもより幸せそうな彼女にその理由を尋ねると、素敵な男性が自分のためにコーヒーを入れてくれていることを妄想したら、とっても幸せになれた、おぬきさんも妄想を始めたいい、と言われた。

私は妄想を始めるとどうしてもネガティブな妄想になってしまうのだ。私の山仲間の先輩もそうだった。ある日の登山帰り、ふもとの駐車場からバスが出発するとき、隣に座る先輩がいきなりブルブルと激しく首を振った。どうしたんですか?と尋ねると

「さっき、駐車場の仮設トイレに入ったんだよ。山のトイレは汚いのが当たり前だろ?それを考えてたら、妄想が進んで、便器の中から***がヒルみたいにバババーッと俺に襲いかかる…と想像してしまったんだよ。いやー、震えるよなー」

そりゃあ、震えますね、と同意をしたのだが、私も同じく、妄想がネガティブになりがちだ。

私の恐怖の妄想は、ライブのステージ上で**が***して、*****することなのだが、ネガティブレベル9くらいの強烈なものなので、ここには記さないでおく。

先日、ネガティブレベル1の妄想が現実となった。
それは、男性しかいない会場でドレスのファスナーが上がらなくなるという妄想だ。

まさかの瞬間だった。

いつもなら上がるはずのファスナーが上がらない。
息を吐いて、お腹を引っ込めて、再度チャレンジしても全然無理。

このお店は初老の紳士達が手抜きなしのホスピタリティで客をもてなしてくれる元赤坂の名店。辺鄙な場所でもへっちゃら、いつも満席のフレンチレストランだ。

ここのスタッフは、全員男性なのである。
そして、本日の共演者は男性ピアニスト。

困った…。

誰に助けを乞うか。
このうら若き乙女の玉のような肌を見せつけて、何も感じない男性はいないだろう。きっといないさ。いないはずに違いない。よしんば何も感じなかったにせよ、何か心に残るものはあるだろう…?いや、そういうことではない。今はこのピンチを乗り切らなくてはならない。ネガティブ妄想レベル1が現実になったのだ。さぁ、どうする!?自分!?

私はドレスのファスナーを中途半端に上げたままそっとホールを覗いた。

今日も満席の当店では皆さんとっても忙しそうだ。

そこにお店のマスターがやってきた。彼はこのお店のオーナーであり、年長者であり、筋がね入りの紳士である。

「マスター!ちょ、ちょっとお願いしたいことが…」

私は手招きをしてマスターを女性の個室へ呼んだ。
マスターは不思議そうに「何か不都合でも?」という表情だ。

私は思い切ってマスターに背中を向けて「ファ、ファスナーを上げて下さい!」とお願した。するとマスターはガッテンいったという顔をしながら

「俺はファスナーは上げるんじゃなくて下げるのが得意なんだよー」

と言って頑張ってくれたのだが、やはり無理。ピアニストを呼んでこようと、個室にピアニストが呼ばれた。彼は私のこの手の現場は2度目。前回の神の手によって救われた私のファスナー事件のときも現場にいた人なのだ。

「のり~!お前またかー!!」

と罵られ、彼もファスナーにチャンレンジ、しかし、その直後。

「指が痛い。俺、ピアニストだからダメ。お前はこのまま出ろ」

ガーン…。はい…、このまま出ます。皆さんには上手に背中を隠すことにします。いいえ、太ったんじゃないんです。お昼についうっかり食べすぎちゃったんです。我慢できなくてついかき揚げ天ぷらを3つも…。

「何やってんだよー…」

とピアニストもあきれ顔。すみません…。
でもでも!1ステージ終わったらファスナーは絶対上がるから!!1ステージ終わるごとにどんどん痩せるから見てて!!

と言い逃れをし。本番前、トイレに用を足しに行くたびに「痩せてきます」と宣言し、ステージが始まる前にも「痩せますから」を連発し、1stステージは終了。ファスナーはといえば、自力で余裕で上げられるほどいとも簡単に上がりました。1ステージでかき揚げ3つよ、さようなら。なんて燃費が悪いんでしょう。

その後、休憩のたびにマスターから「男はファスナーを上げるんじゃない。下げる方が専門なんだ」と教え込まれ、その日の名店の夜は更けていったのでありました。

おしまい。


2011年9月21日水曜日

小さめのドレス

悲しいことがありました。
いや、楽しいことがありました。
いや、人の優しさを知りました。

これは自慢ではありません。
断じて違うんです。
信じて下さい。

私、胸が大きくなりました。

幾種類も飲んでいるサプリメントのせいなのか、毎日欠かさずに行っているリンパマッサージのせいなのか、それとも果てしなく続く私の不埒な妄想のせいなのかはわかりません。

あ、太ったのではありません。
自信はないですけど、太ったのではありません。
とんかつ定食ご飯大盛りもちろんおかわり、とか普通にやってますけど、たぶん太ってないと思います。

先日の六本木のSTB139でのライブの時のこと。

リハーサルを終え、メンバーと一緒に楽屋で寛いでいました。

本番1時間前でしたが、出演者たちはぼちぼちと衣装に着替え始めていました。どれ、私もドレスに着替えようかな。なんと、今日は奮発してツーポーズ!最初は華やかにオレンジ色でいこうかな。

気楽にオレンジ色のドレスを手に取り、私は個室へ入り込んだ。

このドレス、久しぶりなんだよなー。
でも、最近痩せたからスッスッスーッと着れちゃうもんね。

などと思いつつ、ファスナーを上げる。…フ!!…あれ?…フ!!…あれ?…ホッ!!

フゴーーーーッ!!!

変な声を出しながら、私はファスナーという小賢しくも困難な敵に挑んでいた。
空調の風のない個室で私は俄かに汗だくになり始めた。

いけない。このままでは生地が張り付いて余計に着づらくなる。

私は個室を出て、みんなの待つ楽屋へ戻った。

STBの楽屋は何部屋もあって、だいたい女性演奏者と歌手の楽屋は毎回同じ。今回はクラリネットに女性のエキストラが入ったので、彼女も合わせて4人の女性が同じ楽屋を共有していた。

すみませーん、ファスナー上げてくださいーーー!!!

私が行くと、よし来たガッテン!と言わんばかりにフルートのTちゃんがファスナーに挑みかかる。私も必死に肺の空気を抜きつつ、ファスナーを上げようと頑張る。

しかし、スパンコールやビーズでなかなかつかみどころのない衣装。こっちを伸ばせばあっちが立たずでなかなかファスナーは上がらない。

Tちゃん「もう一人の手助けがいる!お願いします!」

Tちゃんがクラリネットの女の子に声をかける。「はい!」と彼女は元気よく返事をし、一緒にファスナー戦に参加。わいわいやっていると、隣の楽屋からドラムのMさんが勢い良く駆け寄ってきて、

Mさん「何なに何なに!?俺やる!俺やる!俺にやらせて!!」

となぜか喜んで参戦。しかし、この難しい戦いに参加したことにすぐさま後悔の声を出す。

Mさん「痛い…。指が…痛い…何これ…上がらない」

Tちゃん「待って、私がここを押さえるから」

クラ「…。」(必死)

全員「せーの!!」

私「…ハフ!!」

みんなで一丸となって戦っていると言うのに、一向に歯の立たない戦い。そのうち、指揮者のHさんが世にも珍しい光景と言わんばかりにカメラのシャッターを切り始めた。小さな楽屋はてんやわんやの大騒ぎだ。

くそぅ、もう諦めてもう一つのほうのドレスにするー!!

Tちゃん「いや…これは絶対に上がる!待って、もう少し…」

私「…クァッ!!」

やはり、歯が立たないのだ。
もうダメだ。みんなの心が折れかけた時。

隣の楽屋からメンバー一番の巨体 - "デラックス"という異名を持つ男 - ベースのDちゃんがさっそうと入って来るなり、私の胴体を両手でグッと押さえこんだ。

私「ぐは!」

その時、全員がファスナーに手を伸ばした。

「今だ!」

みんなの心が一つになり、なんと、ファスナーはいとも簡単に上へ上がってくれたのだった。

Dさん「な!?」

と、全員にどや顔を見せ、片手に煙草の箱を握りしめながら、入ってきた時と同じようにさっそうと部屋を出て行った。

大きな大きなDちゃんの背中を見て、ああ…あの人も一人で洋服を着る苦労を重ねてきたんだな、としみじみ思う。みんな、ありがとう。おかげさまで、素敵なドレスを"装着"することができました。

Tちゃん「おぬきさん…入りましたけど…ブレス、出来ますか…?」

私「…します。超人ハルクみたいにドレスが引き千切れても。」

と覚悟の顔の私。

本番直前、ステージに上がっていく共演者の人たちが口々に「Dスケにアバラ押さえられたんだって?」「Dスケがアバラ押さえたんだって?」と声をかけながら私を通り過ぎて行った。

くそぅ、絶対痩せてやるーーー!!!ガリガリ宣言、再び発令なのだ!!!

あ、太ったんじゃないんですよ。胸が大きくなったんです。
あ、自慢じゃないですよ?本当です。本当に胸がお…以下自粛。

がんがります。

2011年9月6日火曜日

恥ずかしさの切り抜け方。

人前で小さな失敗をしてしまった時、誰もが少しは恥ずかしいと感じるのだろう。

夏祭りで屋台の焼きそばを食べて、思いっきり笑顔で彼を見上げたとき「歯に青海苔がついているよ」と指摘された時の恥ずかしさ。あるいは、左右違う靴下を履いて外出してしまった時。あるいは大事なお客様を「お父さん」と呼んでしまったこと。あるいは、強風にあおられ部分カツラが少し浮いてしまったこと。よく、お年寄りがスラックスのチャックを開けっぱなしにしているが、本人はどうでもいいのかもしれないが、それは私が恥ずかしい。

挙げればキリがない。

ずいぶん前の話だ。

私は上司と一緒にビルの廊下を歩いていた。
会議室付近ということもあって、とても静かな廊下だった。

何かの理由で私が上司の前に出た時だった。

プッ!

引き締めていたにも関わらず、私のお尻から出てしまったガス。

引き留めようと思っていたガスがついにもう外へ出ようと決心をし、私を裏切ろうとする瞬間、私はガスが排出する音と共に、前へ少しジャンプした。



上司   「お前、今、おならで飛んだな」



上司が小さくつぶやいた。

私     「やってみればできるものですね」

私は不敵な笑いで上司を振り返った。

それ以来、私はこの手の失敗をジャンプすることで切り抜けている。
ものすごくセンスのある切り抜け方だと自負しているが、上司のようにこの洒落がわかる人はそれほど多くない。

っていうか、人の前でおならは良くない。

おわり。



2011年8月31日水曜日

きらきら星変奏曲

誰もが知っているモーツァルトの名曲。

次のピアノの課題曲として選曲してみました。
モーツァルトとは相性のいい私。

楽しく練習できそうです☆

ほーんと、いろんなことが楽しくて仕方がない。
ピアノの練習も、歌う曲のアナライズ作業も、声を出すことも、全部楽しい。

ついでを言えば、飲むことも食べることも楽しい。
誰かと一緒にひとつの作業をするのもとっても楽しい。

唯一、最近、私が苦手なのは睡眠。

すっごく眠たいんだけど、起きてるのが楽しすぎて眠るのがもったいなくなるの。

でも、眠たすぎてふらふらになってベッドに倒れこむとき、きらきら星のメロディが
頭に響くとなんだかとっても幸せな気持ちで眠りの世界へ旅立てるのです。

明日は音楽療法の日なのでとても早起き。(私にとっては)

我慢して早く眠らなくちゃ。

2011年8月16日火曜日

スマホに夢中

急に思い立って携帯をスマホに機種変更しました。

もともとの携帯の電池が寿命だったから、ぐずぐずしてる理由はないなと思ったのです。

それにしても携帯からスマホへの情報ツールはこんなにも進化したのかと目を見張ります。やれることがすごくなった、とういうレベルではないんです。情報に対するアプローチ自体が進化したという感じ。驚いたのは、携帯に比べてスマホのほうがマニュアルが薄い。ほとんどないと言ってもいいくらい。もちろん、私の大好きな取扱説明書はネットで簡単にダウンロードできる。でも、ほとんどいらないくらい、ユーザーフレンドリー。素晴らしい。

ただ、突然電源が落ちたり、ネットが切断されたりするんですよねー。
メールなんかも長文を書いていると突然終了。どこにも保存されてない。愛情込めたラブレターなんて書いてる途中でこんなことがおきたらショックで舌を噛みたくなる。

世の中は便利になったなぁ。
ポケベルとか持ってる時代、ありましたよね。私はその時代はよく知りませんが。
暗号みたいな文字の羅列でメッセージをやりとり。限られた情報なので、遅れるとか、ごめんとか、ありがとうとか、電話くれ、とかその程度の情報しかやり取りができなかった時代。

今では普通にメッセージが残せるどころか、お互いの顔を見ながら電話で話せる時代。

遠く離れている人とでもどこでも話せるこの利器は、メールだって出来ちゃうし、ネットサーフィンだってできちゃうし、SMSでの仲間とのコミュニケーションもできちゃうし、読書だってゲームで執事と恋愛するのだって、なんだってできちゃうのだ。すごいなぁ。

でもね。

まだ情報収集にはツールが必要なんだよねー。
いつか、頭の中で世界中の情報にアクセスするってことにはならないかしら。頭の中で【Ctrl+F】がいつでも出来る状態!

そうしたら、勉強とか試験とか全然必要なくなっちゃうかしら。
でも、学校は必要だよね。

だって、学校って楽しいもん!私は粘土の時間も絵画の時間も音楽の時間も全部好きだったなー。もちろん、ドッジボールだって大好きだった。体育で一番燃えたのは馬跳びだった。今でも、馬跳びを超えるほどの楽しい運動はないと思ってる。スキーやサーフィンを凌ぐ気軽さ、楽しさ。誰かが「もうやめようよ」と言わない限り、永遠と続けられる夢のようなあの遊び!

世界中の情報に頭の中でアクセスできる時代が来たら、子供たちは学校でたくさん遊べばいい。いたずらだってたくさんすればいい。そうして心に楽しさをずっしりと詰めた子供時代を送ればいい。

そんな時代まで、生きられるかなぁ?

せめて、米国政府と宇宙人が握手するシーンが見れるくらいまでは人生が続いていてほしいなぁ。

2011年8月3日水曜日

バリ島での光景

田んぼが幾重にも重なる長閑な風景。そのひとつに何十羽ものアヒルが集まっているのを、私はローカルレストランから眺めていた。

空は夕暮れがかっていて、オレンジ色の空と紫色の雲のコントラストが美しい。

田んぼで働いていたおじさんが、やおらアヒルを煽り始めた。おじさんが手を大きく回しながらアヒルに近づくと、アヒルが一斉にひとかたまりとなって畦道に上がり始め、やがて一列になってヨチヨチと移動し始める。

その様子は、恐らく毎日のように行われている生活の一部の光景。長閑なこの土地での日常なのだ。

おじさんはアヒル達をかなり離れた田んぼに移動させたかったようで、じんわりとアヒルを追い詰めながら私から見てずいぶん左手の方に移動させていた。

ほとんどのアヒルが移動を済ませたというのに、一羽だけヨタヨタ畦道を歩いては田んぼに落ちてしまって、なかなか進まないアヒルがいた。やっと這い上がっておろおろと歩くも、足を滑らせ無様に田んぼに落ちる姿はあまりに滑稽で可愛らしく、笑いを誘った。

いるいる、ああいう鈍くさいアヒル。

見かねた田んぼのおじさんがそのアヒルを救い畦道に戻すが、しばらく歩くとまたもや田んぼに落ちてしまった。今度は畦道の向こう側に落ちたのでアヒルのドタバタする愛嬌のある姿が見えない。

おじさんはアヒルに手を伸ばし、アヒルを畦道に戻すかと思ったら、何やら手こずっているようでなかなかアヒルの姿が現れない。畦道が死角となっていて見えないが、田んぼの隅でおじさんが半腰になってアヒルと何かをしていた。ふふ、ほんとに鈍くさいアヒルなんだな…。

ようやくおじさんが立ち上がったがアヒルが這い上がってこない。ん?良く見るとぐったりしたアヒルがおじさんの右手にぶら下がってた。あ、あれ?もしかして、夕飯用に絞めちゃったの?

おじさんはぐったりとしたアヒルを右手に、のんびりと歩き出し、集まったアヒルの元に向かうと、再び大きく手を降りながらアヒルを移動し始めた。そのまま、おじさんはぐったりとしたアヒルを片手に明かりの灯る小屋に消えていった。小屋の煙突からは細い煙が昇っていた。

これも、この国の長閑な日常の光景。空はそろそろ夜が訪れていた。

「お待たせいたしました」

ウェイトレスの声に現実に引き戻される。注文した料理が運ばれてきたのだ。

「アヒルのカリカリ揚げでございます」

テーブルの上にこんがりとしたアヒルの姿揚げが置かれた。

繊細な子供だったら、きっと大泣きしていたことだろう。

おしまい。