2011年8月3日水曜日

バリでの出来事

ちょっと街から離れた食堂に行ったら、地元民しかいないのでタクシー(と言っても白タク)が見つからなくて、そこらへんにうろうろしてた若者にタクシーはどこ?って聞いたら、ちょっと待ってろ的なポーズ。待ってたら、先ほど荷台に店用の豚の丸焼きを運んできた軽トラが待機。中から屈強だが優しそうな目をしたおじさんがこっちへ来いという仕草。近寄ると窓を全開に(手動)して「どこに行くの?」と。行き先を告げると4万RPという。いやいや、それは高いよ、せめて3万と言うとあっさり交渉成立。

そこからが面白かった。

狭いトラックの乗車席におじさんと座る私。走り始めると「田園風景は見たくないか」と尋ねられる。いいや、まっすぐ目的地に行ってほしいな、というと「目的地に行く前に寄りたいんだ。店の持ち帰り弁当をデリバリーしたいから」だって。5分だけだから、というので頷くと、彼はご機嫌に走り始める。

この時期のウブドは大変な渋滞でエアコンもない車内はカンカン照りの太陽にかなりヒートアップ。

そんな中、彼は渋滞をすり抜け、細い脇道へ。観光客は絶対に足を踏み入れないようなエリアへどんどん入っていく車。私の知らないウブドの光景。田園の中に普通の住宅。オレンジ色の瓦屋根、石造りの重厚かつ風通しのいい建物。まさにインドネシアという感じ。車の横をよたよたとすり抜けるバイクがおじさんにあいさつをする。頭に祈りのための小花をたくさん乗せたおばさんがあいさつをする。うん、このおじさん、なかなか街では顔が広いらしい。

どんどん小脇に入ったところでふと車が停車した。辺りは一面のライスフィールドだ。

「1分待ってて」と言って、彼は持ち帰り弁当を持って消えた。

ほどなく手ぶらの彼が戻ってきて、何事もなかったように車を走らせた。

普通だったらドキドキの冒険なのかもしれないけど、こんな小さな街でみんなにあいさつしてるようなおじさんが悪い人であるわけがないし、おかげで素敵な田園風景や家屋が見れて、つくづく自分の神経の図太さに感謝したのでした。

おしまい

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